レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

君のこと

これはぼくの決意表明で、嘘偽りない話だ

これはぼくの決意表明で、嘘偽りない話だ。ぼくはあのまま自分を清浄な言葉で覆ったまま切り売りを続けるより、今こうして一人で明日を考えず部屋にいるほうがずっといい。君を不思議な気持ちと、苛立ちと、嫌悪と憐憫で守ろうとするより、彼女の香りを胸に…

今度こそきみの言葉を違えないからぼくを救ってほしい

きっとぼくは忘れるね。全部忘れて、ああそんなこともあったな、あの時は大変だった、一生懸命だったけど今はもう別のことで手一杯、懐かしいね、あんな風が吹いていたよね、ってきみに言うんだ。そうだよね。ぼくには肩を竦める癖があって、そう言った後も…

起きて、喪失感が蘇って、また苦しみの涙が流れたら

道端で、自転車のサドルの上で、フードコートの端っこの席で、くたびれたベッドの上で、ぼくの涙は止まらない。嗚咽、苦しみながら涙を絞り出して、過呼吸に近い息をする。きみはぼくに言葉をくれたのち、何かを探しに出て行ってしまった。 きみがぼくのこと…

君の焼けた肌を水が打ち、その冷たさが骨にまで伝わる頃

ほらね、きっと悪いことが起こると思った。これはぼくのせりふだ。きみはもう、ぼくを下手に慰めることすらしないみたいだ。 結局今日はくたくたになって帰ってきて、十九時以降の出来事は全部忘れてしまった。覚えているけれど、どれもこれも夢のように曖昧…

紺色のトランクの上で君への手紙を書いている

僕は僕の紺色のトランクの上でこれを書いている。もう紙を広げる場所がないのだ。ペンはがたつくし、風は冷たいし、時折ジョギング中の人たちが僕を怪訝な目で見て過ぎ去っていく。よい環境とは言えないが、今日僕はこの土地を離れるので、書いておかなけれ…

僕は君の手前、僕の欲求についてあまり語らなかった

僕は君の手前、僕の欲求についてあまり語らなかった。語ることはためらわれた。しかし今となってはそのくらいの自由は許されるだろう。あの日、君は訥々と君の欲求を語った。僕は神妙な顔をして聞いていた。僕に口はなかった。 ただ、今ならば言える、彼女を…

こんなに憎いと思っている

今日も一日やり過ごした。どんなことを考えてた? 体調のこととかかな。気持ち悪いのが続いているから。それから、いくつも感情があったよ。攻撃的なことも考えた。ほとんど憎しみだと思う。考えたくないのに、ぼくは暇に任せていろんなものを憎んでいる。 …

少し楽しい話をしようか、ここのところ疲れていただろうから

そうだなあ、ときみはぼくたちの部屋の大きな窓から空を見上げた。 ああそうだ、あの帽子は?覚えてる? うん、ちゃんと覚えてる。夏のお帽子でしょ。ぼくは答える。 あれをかぶって行きたいところはどこ? 川沿いを歩きたい。ショッピングモールに行きたい…

君とはもうこれっきり、さよなら

いっさいがっさい、捨ててしまえば楽になる、それは確かだった。 実際ぼくはすっきりした気持ちでいて、きみとベッドに寝そべっていた。 今日は暖かかった。ぼくはとびきりのおしゃれをして、君と会った。ずいぶん長い時間をかけて、ぼくは君にさよならを伝…

君なんかよりあの人のほうがぼくを愛してくれている

銀色のボタンを半分押し込むと、視界のピントが合う。レンズが小さくジー、と音を立てて、ピピッと「ピントが合いましたよ」を知らせる。緊張なのか震えようとする肘を抑えて、銀色のボタンを深く押すと、カシャリと箱の中から音が聞こえる。指の力を緩める…