レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

ぼくに味方がいるという気づきさえ、唐突な嘘みたいに感じられて拒みたい

きみと一緒に彼女がぼくのために祈ってくれていることに気がついて、ぼくは飛び上がるくらいびっくりした。ぼくのために祈ってくれる人が、きみ以外にもいるのだということをぼくはやっと知った。

 

一番起こってほしくないことを想像した。ぼくの皮膚はたちまち震え、ぼくがまだまだそれを恐怖していることを主張した。ああ、そんなことが起こったって、ぼくはなんにも変わらないのに、どうしてこんなに怖いんだろう。

 

ぼくを案じて祈ったり願ったりしてくれる人が絶対に存在するのだと知ることは、決してぼくに安寧をもたらしてはくれない。ぼくを感情的にさせて、不安定に昂らせ、またぼくは涙を流している。喜びの涙ではなくて、きっと衝撃を受けたがゆえの恐怖の涙だ。ぼくは、ぼくに味方がいるという気づきさえ、唐突な嘘みたいに感じられて拒みたいのだ。わかってるよ、きみも彼女も、ずっとぼくを心配してくれている人生のあちこちでやわらかく交わった人々だって、ぼくを傷つけるつもりなんてないし、ただ落ち着かせたいだけなんだとわかってるよ。

 

ぼくを落ち着かせてくれ。喋ろうと思っても、喉の奥は湿っぽくがたがたと揺れている。鼻水を拭って、でももう意味がないみたいだ。

 

なんにもいらないなんて言いたくないんだ。ぼくには必要なんだ。ぼくはそれを受け入れればいいだけなのに、なぜうまくいかないんだろう。きみのことも、彼女のことも、彼らのことも愛して執着しているはずなのに、どうして全部いらないと叫びたくなってしまうんだろう。ぼくを一人にしてくれ、ぼくを見ないでくれ、お願いだから。でもぼくのために祈ってくれ、ぼくも同じように幸せを願うよ。

 

全部いらない、いらないと叫びたいんだよ。それでなんの波もない静かな何かになりたいんだ。どれも必要なものなのに、どうしてぼくは失敗ばかりするんだろう。