レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

今度こそきみの言葉を違えないからぼくを救ってほしい

きっとぼくは忘れるね。全部忘れて、ああそんなこともあったな、あの時は大変だった、一生懸命だったけど今はもう別のことで手一杯、懐かしいね、あんな風が吹いていたよね、ってきみに言うんだ。そうだよね。ぼくには肩を竦める癖があって、そう言った後もきみに向かって肩を竦めて笑ってみせた。

 

きみはそんないつかのこと、まだ考えなくていいんだよと言う。でもさ、そうやって今の苦しさなんてなんでもないことだよねって、小さいことだよねって笑わないと自分が崩れてしまいそうなんだよ。別になんてことないよ、よくあることだし、ぼくは平気なんだよ、ねえどうしてぼくに触るの。ぼくの涙なんて拭かなくていいんだ。こんなのシャワーから流れるお湯と同じだ、ただそこを流れているだけだ。

 

歌がうまく歌えないことだけが心配だ。好きな歌を口ずさみたいのに、どうやっても声が跳ねてしまって、音程をなぞることができない。

 

きみは……もう、ぼくに、呆れてしまった? 一人で立てないぼくを愚かだと思っている? ぼくはね、自分がこうありたいという形があったのに、それを歪めてまで、自分の存在の形を変えてまで、君と一緒にいようとしたんだ。そんなことだから、何もかもだめになってしまったんだ。きみはずっと前から知っていたよね。

 

とにかく、きみが正しかったんだ。きみのいうことを聞いていればよかったんだ、最初から。きみが正しかった……正しかったよ。それでも自分で決断したぼくをきみが励ましてくれたから、ここまできたけれど、もう退路は崩れたし、進む道も見えない。今度こそきみの言葉のとおり、違えないから、お願いだからぼくを救ってほしい。