レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ぼくに味方がいるという気づきさえ、唐突な嘘みたいに感じられて拒みたい

きみと一緒に彼女がぼくのために祈ってくれていることに気がついて、ぼくは飛び上がるくらいびっくりした。ぼくのために祈ってくれる人が、きみ以外にもいるのだということをぼくはやっと知った。 一番起こってほしくないことを想像した。ぼくの皮膚はたちま…

心臓は静かに遅いテンポでぼくときみの体を鳴らし続けている

ありがとう! ねえ、また遊ぼうね。 ぼくのために泣いてね。 あれはビーツだったはずだよ。どっちでもいいか、紫色ならどちらでも。 黒髪の女の人を見かけたよ。ぼくに笑ってくれたんだ。ぼくが二十八歳だって言ったら、私は三十だよって教えてくれた。ぼく…

誰もぼくに話しかけない、ぼくを見ない、ぼくのことを知らない

どうぞ、あなたの願いを話してみてください。 ぼくの願いは、道端の石ころになることです。誰もぼくを気に留めず、ぼくに気付かず、ぼくをまなざすことがない。誰の会話の話題にもぼくは上がらない。 ねえ、今日花瓶の水誰が替えてくれたんだろう。 さあ。知…

バラ、パフューム、ケイキの女

この小さなワインバーを経営して六年になる。それなりに地元の客がつくようになった。一人でふらりとやってくる客が多い。リピート率はそこそこ。 カウンターには女が座っている。女は常連だ。毎月第二土曜日に女はこの店を訪れる。もう四年くらいの付き合い…