レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

きみの穏やかな視線に包まれて久しぶりに安らかな気持ちでいた

ショッピングモールをふらふらと歩いていたとき、何か探し物のため留守にしていたきみはやっとぼくに追いついて、ぼくの背中に、一番愛しているよ、ずっと愛しているよと言った。きみが何を探しに行っていたのかは、それですぐわかった。ぼくを地面に括り付けておくための正答を、きっと見つけようとしてくれていたのだ。

 

そんなの当然だ。きみがぼくを一番に愛してくれることなんて当たり前のことだ。疑いようもなく信じられるただ一つのことだ。だから、ぼくもそうだよと伝えた。ぼくもきみをいつまでも愛している。ずっとずっと、きみの代わりなんかいないのだ。

 

きみは二日間水しか飲んでいないぼくに、食べられるものはなんだろうね、一緒に探そうね、と歌うように導いて、レタスがたくさん挟まれたサンドイッチを買った。それから、少しでも幸せな時間を作ろうと言って、期間限定で値下げしていた西瓜のフレッシュジュースを買ってくれた。自分で何も決められないことがなんだか恥ずかしくて、Sサイズでいいよとぼくは言った。

 

西瓜のジュースはなめらかで、ざらざらした舌触りも全然なくて、ぼくのほてった顔をちょっとだけ冷やしてくれた。お店のカウンターに座ってジュースを飲んでいる間、ぼくはきみの穏やかな視線に包まれて、久しぶりに安らかな気持ちでいられるようだった。飲み終わった瞬間、ぼくはきみの優しさが痛くなってしまって、きみの誠実さに応えられないふにゃふにゃした自分が悲しくなってしまって、マスクの中で思い切り泣いた。タオルで目を押さえた。きみはぼくが落ち着くまで、何も言わず静かに待ち続けていた。