レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

ぼくはただの灰色で、それ以上のものを持つことも失うこともできなかった

湾曲した四角いガラスの中で、淡いブルーが静かに、それでいて波打つように収まっている。それがどのくらいで尽きるのかはわからない。ずっと遠くであればいいと思う。

 

待つことが本当に難しい。得たいと思っているからだ。どうせ手に入らないなんて諦めたふりをしつつ、実は自分に与えられたらいいのにと心の底で恥ずかしげもなく信じているからだ。安心して、あれがぼくに与えられることはないよ。ないから、別のことを考えて。ぼくは、今のぼくにできることをしなければならない。

 

部屋を片付けるよときみに約束してからもう何日が経っただろう。ぼくはベッドの上でうずくまり、パンを食べるか、スマホの上で親指をつるつると滑らせるか、タオルの匂いをかぐか、ぬいぐるみの耳を触り続けるか、そんなことしかしていなかった。きみとの約束は反故だ。シャワーだけは毎日浴びていた。

 

どうやっても、そう、どこを向いても、きみの背の向こうにも、棘のある花、アザミ。

 

神は? 愛は?

 

ぼくは一度愛したことがあるよ。一人の女を愛したんだ。

 

きみを失ってから……あの二年間、ぼくは一人で生きようとした。なんでもやってみようとしたんだ。空虚を知っただけだった。ぼくはただの灰色で、それ以上のものを持つことも、それ以上のものを失うこともできなかった。

 

横たわるぼくの腰のあたりに、きみは何も言わず座った。ぼくの額に浮かぶ脂汗を、タオルで一つひとつ拭いていく。もう大丈夫だときみは言う。きみはぼくの兄弟で、部屋の外では母がスープを作り、父が仕事から帰ってきた音がする。小さな弟は泣いたり笑ったりして父の気を引こうとしている。揺らぐことのない家庭の姿がそこには満ちている。心配することはない。

 

眠い、眠いんだ、眠りたいんだ。そう伝えると、きみはぼくの言葉を正しく理解した。