レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

ごめん、今日はもう何もできない

あは、焦らなくていいよ。

 

電話したいと思った。今すぐ助けてほしいと本気で思っている。手が伸びる。どんなボタンを押してもつながるはずがなかった。ああ、痛いなあ。マスクを外した。雨に濡れた河川敷からは新しい匂いがしていた。

 

ショッピングモールのだだっ広い平面駐車場に点々とできた水溜りは、空の青さと複雑に描かれた雲模様をはっきりと反射していた。今日は晴れてるんだ、と、下を向いて知った。

 

きみと約束したジュースだって、お腹が痛くて飲めやしない。女子トイレのパウダールームで待つきみに、ごめんねと合図を送ったら、乗っかった埃を取ろうとまつげをつまんでいたきみはううんと微笑んだ。

 

ごめん、今日はもう何もできない。これ以上書けないし、髪だって乾かしたくない。お腹が痛い。もう何もできない。