レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

起きて、喪失感が蘇って、また苦しみの涙が流れたら

道端で、自転車のサドルの上で、フードコートの端っこの席で、くたびれたベッドの上で、ぼくの涙は止まらない。嗚咽、苦しみながら涙を絞り出して、過呼吸に近い息をする。きみはぼくに言葉をくれたのち、何かを探しに出て行ってしまった。

 

きみがぼくのことを理解してくれていて助かった。ぼくの心は引き裂かれていて、水を飲むので精一杯だ。歌おうとしても、鼻にかかった涙声が震えながらばらばらに口から飛び出すだけだった。きみはたぶん、見ていられない、みたいなことをぼそぼそと呟いて、ぼくの前から姿を消した。

 

鋭利なナイフで心臓をくり出したい。死にたい。嘘だ、本当は死にたいと思うところにすら手が届いていない。迷子だ。きみも先導してくれやしない。

 

悲しみは薄れるはずだ。そうでなければいけない。きっと楽しい思い出だけが残って、今の気持ちなんか忘れ去るはずだ。そのはずだ。

 

大丈夫だ、と自分に言い聞かせる声がどうしようもなく頼りなくて、また涙がこぼれた。これだけ泣いていることを伝える手段すらもうない。眠りたくない。起きて、喪失感が蘇って、また苦しみの涙が流れたら、ぼくは今度こそ死んでしまうかもしれない。誰でもいい、助けてほしい。きみは遠くで落とした帽子を探している。