レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

ぼくは笑う、あざ笑う、何か勘違いをしているんじゃないの?

ちょっと笑っちゃうよね。笑ってしまう。あは、と間の抜けた息が漏れる。たぶん、呪いが成就したのだ。お願いだから不幸になってくれ、相対的にぼくを幸せにしてくれ、という全霊を傾けた呪いが、遠くて見えないどこかで叶ったのだ。じゃなきゃこんなに笑えるはずがない。うふ、ほら、また笑う。

 

ぼくは笑う、あざ笑う、何か勘違いをしているんじゃないの? 呪われているのはぼくなのか? でも、だって、呪いを思い出したのなんて一日の最後の最後だ。それまでぼくはちっとも自分の暴力性や嫉妬深さを想起しなかったし、風に吹かれて、雲の間に見える青色を眺めて、ぼくを見つめるレンズに頬を預けたりしていた。そうして自由になって、そうか、ぼくはそろそろ自由になれるのか。やっと自由になれるのか。確かにとぐろを巻くような苦しみはぼくをここに置いていこうとしている。ああ、そうなのか。

 

ぼくは笑う、あざ笑う、何か勘違いをしているんじゃないの? ぼくが特別にするとでも? どうして? ぼくはもう軽い体でいるんだ。今日は何度だって宙に浮いた。はだしで跳んで、ぼくにはまるっきり重さなんてないみたいだった。

 

ゼリーの透明の中に、きみがぼくの辛うじてきれいなところを映して数えている。葡萄としてスプーンに乗るそれがぼくの口に入るところを、きみがじっと見る。きみはぼくの口の中に埋まりたいと言った。どれだけでも、見てくれ、うんと昔からきみの場所だ。