レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

どこまで取り繕ったかを覚えておくのは難しい

上手に嘘をつくのは難しい。楽しいお茶会で笑って、何の問題もないようにきれいに嘘をつく。嘘には少しだけ本当を混ぜるといいらしい。心底うんざりしているという感情を嘘に乗せてぼくはにこにこする。笑顔でいることはそんなに難しくない。

 

今日、とても好きな人に転職祝いをいただいた。ぼくはもう休んでしまっているのに、それを言うことはどうやってもできない。やけにならないこと、それが肝心だ。

 

嘘をつくのは難しいし、どこまで取り繕ったか覚えておくのはもっと難しい。誰にも会いたくない。すべてを遮断する勇気はない。ぼくを許してくれるんじゃないかと期待したい。手酷く裏切られたくはない。

 

これ以上スマートフォンを使いたくない。……今どんな気持ち?

 

きみがただぼくの首を絞めてくれればいいのに。きみはいつまで経っても一晩だけの短い眠りにしかぼくをいざなってくれない。きみを追い詰めたくはない。きみだけがぼくを許してくれる。ぼくでさえ許せないぼくを、きみだけが許そうとする。きみに話せないことなんか何にもないんだ。どんなに後ろめたいことも、間違っていることだって、きみのおなかを通れば不思議と落ち着いて手のうちに包むことができる。

 

何もできない一日だったと思考を停止するのをやめたい。今日は外に出て、買い物をして帰って、野菜を切って料理をした。十分だ。きみだってきっとそう言う。