レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

さよならなんて経験したばっかりなのに

またさよなら?不意打ちの冷水みたいな宣告じゃないか。

 

なにものとも相容れないよと言われているようで落ち込むなあと思った。ぼくは他人とも、所属することを決められた場所とも相容れないんだ。

 

わあわあだ。こんなの、わあわあだ。訳が分からなくなって冷たいジュースを買った。甘すぎて舌の先が痺れた。

 

こんなことすらふつうにこなせないぼくは、落伍者だとぼくが喚く。きみはぼくが放り出したジュースを一口飲んで、かき混ぜてないから、甘いソースが固まってるだけだよと言った。ぼくの鼻水を拭った。

 

もう暑くてかなわない。だめだ、ぼくはだめ人間だ。

 

さよならしたくなかった。ぼくはここにいたかった。確かにここにいたかったはずなのに、体が言うことを聞かなかった。体がもうどこにも行きたくないと駄々をこね続けていた。毎日涙が出ていた。きみはぼくを止められなかった。

 

ぼくは仕事がしたかった。

 

きみのことさえ忘れるくらい、集中して仕事をしている瞬間があった。できると思っていた。

 

病気が憎い。障害が憎い。ぼくはぼくが憎い。仕事を続けたかったのに、かなわなかった。ぼくは今日も窓の外に身を乗り出して、高さを確かめていた。ああ足りない、なんて、それをきみは止められなかった。きみも疲れ果てていた。だからぼくは職場とすらさよならしなければならなかった。医師はぼくを憐んだ。

 

やめてよ、ふつうに生きさせてよ、できると少しの間すら思わせてくれないのか。ぼくはできるはずなのに、ぼくは絶対にできるのに、どうしてまただめなんだろう。何もかもに嘘をつきたい。