きみを休ませる、眠らせる、いつかのために
期待するとわくわくする。期待すると夢を見られる。期待すると不安に靄がかかる。ぼくは期待をした。
ことは期待どおりには進まなかった。ぼくはぼくのままで、ぼくの環境も変わらなかった。きみは眠っているみたいだった。ぼくがこんなふうに苦しみだすと、きみはどうしても眠くなってしまうみたいだった。それはぼくたちにとって必要なことだった。きみが内側の暗い部屋で休み、ぼくが眩しい外界で辛抱する。
ぼくが内側に戻ってくると、きみは体を起こしてぼくに場所を譲る。きみはぼろぼろになったぼくを撫でさすったり、声をかけたりする。すごく眠そうだ。ぼくはありがとうと言って、きみと手を繋いで眠る。
朝になると、ぼくたちはすごくすごく眠くて、でも家を出なければならない。きみをなるたけ休ませたまま、ぼくは支度をする。きみには眠っていてもらいたいと思う。ぼくは一人でやるわけではなくて、きたるときのためにきみを休ませなければいけないのだ。