レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

表現の仕方がわからなかったから

職場は寒かった。ぼくは屋上に出る手前の倉庫で、服を脱いだ。きみは怯えていた。誰か人が来るのじゃないかと、心配してくれていたのだろう。

 

ぼくはもう、自分の状態をどう表現したらいいのかわからなくて、紺色のカーディガンも、白いシャツも、グレーのズボンも、黒いキャミソールも、青い下着も、全部取っ払ってしまった。

 

きっと頭がおかしいのだと思う。

 

ぼくときみは窓を開けて、雨上がりの風を楽しんだ。湿った風が素肌を嬲った。

 

階段の下からは、人が行き交う音が聞こえていた。ぼくはばかみたいに裸だった。きみは少しずつ緊張を解いて、ぼくに服を着るよう言った。ぼくは素直に従った。

 

そのあと、また涙が止まらなくなって、ぼくもきみも限界が近いことを予感した。でも今何もかもやめるわけにはいかなかった。人生って難しくて、面倒で、情緒的だ。