レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

一眼レフ

アイシャドウがきれいに見えるように目を伏せて

そのまま、少し上を向いて。背筋を伸ばして。帽子を深くかぶってくれる? じゃあ一度目を閉じて、薄く開けてみて。 きみは今でこそぼくの頭をかかえているけれど、昔は違った、それを覚えているのか。きみは白い毛むくじゃらで、ちょうどあの本の表紙の女の…

君なんかよりあの人のほうがぼくを愛してくれている

銀色のボタンを半分押し込むと、視界のピントが合う。レンズが小さくジー、と音を立てて、ピピッと「ピントが合いましたよ」を知らせる。緊張なのか震えようとする肘を抑えて、銀色のボタンを深く押すと、カシャリと箱の中から音が聞こえる。指の力を緩める…