レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

終わったことを蒸し返すのはぼくの得意技なんだけど

ほらね、思った通りになるよ。ぼくを揺らすものはないんだ。そんなものは全部殺してしまったから、ないんだよ。

 

それでどうする? 終わったことを蒸し返すのはぼくの得意技なんだけど、まだ続ける気力があるのかな。彼女のメールに返信して、マイセンの茶器の色を相談したほうがよっぽど意味のある時間になるはずだ。ぼくはグリーンがいいと思うんだ。きっと賛成してくれるだろう。

 

目が覚めたんだね。起こしてしまって本当にすまない。

演じろと言われたんだよ。ぼくではない人間、自分がゆっくり動くことを許せる人間を演じろと。だから助けが要るんだ。もう数日眠っていてもいいよ。来週からぼくをかつてのように助けてほしい。

 

そうやってぼくを責めるんだね。ヒールの音はわざとだろう。もう幽霊でいることすらやめてしまうのか。幽霊だなんて呼ぶほうが失礼だったかな。悪かったよ。そんな意地の悪い目でぼくを見ないでほしい。悪かった。悪いことをした。

 

助けてほしい。きみならできるだろう。きみだけでは足りないから彼らを起こしてしまったのか。もうどうにでもなれだ。あはは……だから、いいんだ。いいんだよ。力を抜いて横になって、好きな人について想像を膨らませてみよう。もちろんその中にはきみもいるよ。当然じゃないか。助けてくれ。ぼくは壊したい。違う、そんなの今だけだ。ぼくは死なないしいつか、いつかきみと一緒に満足する時がくる。でもぼくはまだ殺してほしいみたいだ。

 

明日がくる。明日、ぼくはぼくを丁寧に扱ってくれる女性と過ごし、相棒の自転車を整備する。そしてあの因縁の喫茶店でじっと座っている。死にたくない。