レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

毛先が痛んで茶色くなった頭をぼさぼさにしたままでうまくもないたばこを吸いながら牌を待ち続けるのだろうか

カウントダウンを始めます。あと三回。大丈夫、何も変わりはしないから。何か変わってくれたらと思うけれど、実際何も変わらない。おかしい。人間は変化する生き物なのにね。きみは? きみは変わらない。

 

外出している間に自宅のブレーカーが落ちたみたいだった。換気扇が止まっていて、風呂場は煙るくらい湿気が充満していた。鏡に自分が映らないことがぼくを安心させた。

 

ぼくはもう、シャワーを浴びただけで泣き出すことはなかった。たぶん二週間前なら、お湯が流れるのに親近感を覚えた涙がばらばらと頬をこぼれていたけれど、今はそんなことはなかった。でも、大丈夫になったわけじゃない。きみと幽霊はそれをわかっていて、炎天下でもぼくについて回る。マリコ……あの子のことは考えたくない。またきっとかわいそうなことになるよ。半年後くらいかな。

 

そう、来週末に間に合わせるつもりだけれど、ぼくだって麻雀しかやっていない。彼もそうだろうか? 彼も、毛先が痛んで茶色くなった頭をぼさぼさにしたままで、うまくもないたばこを吸いながら牌を待ち続けるのだろうか? ぼくが書く。彼のことはぼくが書く。それだけは心配しないでほしい。彼に名前をつけるのは手伝ってくれ。

 

バッテリーの入っていない一眼レフ。こんなものを持ってどこへ行くのか。SDカードの中身なんか確かめたくもない。どうせ撮れていない。撮れていないんだよ。全部消してしまったらどう?

 

いつものこと。変わりないよ。死んでいないってだけだよ。きみと話しているとあんなにかっこいいナイフもおもちゃみたいに陳腐に思える。それくらい自由にさせてくれたらいいのに。ぼくの腕の内側は白いよ。