レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

自分が欲しいものを欲しいと表明することを恥ずかしく思わない

恥ずかしくないと思う。ぼくはまったく似合わないオードパルファムをつけて、その香りをマスク越しに嗅ぎながら、ぼくは自分が欲しいものを欲しいと表明することを恥ずかしく思わなかった。

 

さらさらした手触りのワンピースも、ベルトが銀色に輝くサンダルも、大きすぎる耳飾りも、紫とブロンズに分けて塗られた爪も、ぼくは何もかも完璧で、彼女と手を繋ぐことだって、なんの躊躇もなくできるのだ。ノースリーブを着た彼女の肩に額をぶつけて、そのやわらかな肌に皮脂をべったりつけてしまっても恥ずかしくなかったし、彼女はかつての診察室でぼくの行為を許した。

 

恥ずかしくないのだ、ぼくがどうであろうと、ぼくが実際は醜かろうと、足りない背がコンプレックスだろうと、ぼくはもう恥ずかしくないのだ。きみが隣を歩く、スカートが翻る、彼女とは違う踵の音が鳴る。きみが好きだと思う。彼女を愛している。ぼくがそう思うこと、口に出すこと、それはちっとも恥ずかしくないことなのだ。

 

ぼくが性的に興奮して、彼女や別の女性たちの膣に指を入れたいと思うことだって、きっと自虐して隠さなくていいことなのだ。彼女に乳房を触れてほしいことも、ぼくは誰の許しも必要とせず欲求していいはずなのだ。ぼくは一人でいたい。同時に、彼女に抱いてもらいたい。

 

感情の扱いは難しい。自分の守り方だってぼくはまだわかっていない。ただ、自分が彼女を愛していることと、彼女がぼくを見てくれること、きみが誓ってぼくのそばを離れないこと、これが信じられるうちはぼくは自分を恥ずかしく思わないし、ぼくは堂々たる王なのだ。