レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

痛みに耐えている、きみは焦っている

ぼくはだめだ。だめな人間なんだ。深呼吸してやりすごせばいい苦しみを、真正面からぶつかって転げ落ちて、呪詛を吐いて、その結果がこれだ。

 

痛い、とてもとても痛いんだ。これは身体的な感覚だ。きみにはどうしようもないことだ、病院に行って薬をもらって飲んだって、痛いものは痛いんだ、これはきっと数日続いて、ぼくはもっともっと消耗する。

 

ああ、苦しまなければよかった。苦しいのを無視すればよかった。こんなにからだが激しく反応するなんて、思わなかったんだ、いや、知っていたけど、ここまで大きくなってしまったんだ。考えなければよかった。いやだなんて言わなければよかった。

 

そしてきみは焦っている、ぼくを制御できないことにか? それとも、痛み自体に対してか。きみの焦りはぼくの皮膚を薄いカーテンのように撫ぜる。鳥肌が立って、ぼくを動けなくさせる。

 

でも大丈夫、きみのせいではないんだ。ぼくのせいだから、きみはそんな顔をしなくてもいいんだ。耐えられないけど耐えるから、きみはいつもどおりぼくを抱っこしていてくれないか。額に冷たい手を当てて、優しく包んでくれないか。雨の音が聞こえる。自動車が次々と水たまりにタイヤを沈ませる音が、ずっと聞こえている。それを一緒に聞いてくれるだけでいい、明日になればぼくはまた涙をこぼしながら泣き喚きながらきみの手を引けるはずだ。それがぼくたちにとってのふつうだったろ。