レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

繰り返し悪夢を見るんだ、夢の中では誰も助けてはくれない

ピンク色のアイスクリームを食べたらきっとすごくすごく元気になるよ。ああでも、減量中なんだった。こんなに気分がいいのに、手足は痺れて立ち上がるたびひどいめまいに襲われる。何が悪かったんだろう。

 

きいろい封筒、これはぼくが勇気を出した結果だ。なんだか本当に気分がいいんだ。不安がないし、大切なことはいくつか忘れた気がする。部屋は片付いていて、こまめにシーツは交換され、やりたいことをやっている。やらなければいけないことも。

 

初めからこうすればよかったのかもしれない。

 

繰り返し悪夢を見るんだ。夢の中では誰も助けてはくれない。ぼくの都合のいい妄想なんだ。起きたらそれが手の中にあればいいのに、そうだったらいいのに、そうはならないんだよ。早くここにおいでよ。ここに、ここにだよ。ぼくばっかり。

 

スマートフォンが持ち込み可能でよかった。ここは三年前に入った病棟とはまるで違って明るい。それに個室を割り振られている。費用のことはあまり考えていない。ぼくは大丈夫なのに、どうしてみんなぼくをここへ置きたがるんだろう。ここは四階だ。もちろん窓は開かない。ぼくは毎朝化粧をする。朝の血圧測定が始まる頃には、シャツとジーンズに着替えて扉が開くのを待っている。

 

きみはここを気に入ってはくれないみたいだ。ごめん、ごめん、と何度も呟くきみの言葉を聞いているうちに、謝っているのがきみなのかぼくなのかわからなくなってしまった。きみが謝る必要なんてこれっぽっちもないんだよ。ぼくは今いい気分なんだ。何もかもうまくいっているんだよ。ここにおいでよ。