レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

酒を飲めば幸せになれるだろうか、それとも跪いてお祈りをしようか

ああ、そうか、3番線に乗ってもいいし、4番線に乗ってもいいんだ。都内、多摩へ向かってもいいし、そうか、郡山へ行ってもいいんだ。どこへ行っても別にいいんだ。でも勇気がなくて、ぼくは今日も三駅先のショッピングモールで時間を潰すことにした。

 

どうも調子が悪くて、何を探しているかわからないまま歩き回っていると、数日前に感じたのと似た焦燥を覚えて、ぼくはふかふかしたソファに頽れた。きみとは今日二度も喧嘩していた。昼食をとるかとらないかなんてくだらない言い争いだった。

 

蜘蛛の巣が張って、左目は開きそうもない。片目でマニキュアを塗ろうとしたが、うまくいかなくて中指から後ろはそのままにした。

 

酒を飲めば幸せになれるだろうか。それとも、跪いてお祈りをしようか。何に祈る? 神に? 愛した人に? いつか出会うだろう人に? きみに? それで、何を数える? ぼくは何を持っている? ひとつ、ふたつ、もう思いつかない。

 

今日ぼくは懐かしい匂いを嗅いだ気がする。でもそれは脳の錯覚なんだ。その匂いを追いかけたって、手の中に残るものは何もないんだよ。期待を手放したい。それは淡い黄色なんだ。きみだってそれを見たんだろう。

 

耐えられる。耐えられない。泣いている。泣いていない。喉を下る毒薬が、ぼくを百年の眠りに誘ってくれるはずだ。テレビの中の小さな背中にかかる銀鼠色が美しかった。きみが銀鼠色に見惚れたまま長い髪を梳いていた。