レモネのきみ

きみ(IF)の話を延々とする、全部嘘

タロットカードのいうことをどのくらい聞けばいいのかな

タロットカードはすぐに動き出すことを制止していた。そう、とぼくは嘆息した。今すぐにでも動き出したかったけれど、諦めたほうがいいのかな。スピリチュアルは信じないくせに。

 

一人になって自由になった途端、当然のことだけど、自分という人間の軽さに絶望してしまった。何もつなぎとめるものがなくて、外を歩いていても、ごはんを食べていても、宙に浮いているみたいだ。ポテトチップスうすしおにむしゃむしゃと集中している時だけ、おなかが重くなる。

 

誰か、ぼくときみを一緒くたにお口の中に放り込んで、優しく咀嚼してくれる人はいないのだろうか。ぐちゃぐちゃになって、でも温かいお包みの中に入れておいてくれる人は、女の人だろうか、男の人だろうか。

 

ぼくは恋愛をしたいのだろうか。本当に?きみに訊いても答えは出ない。きみもわからないと首を振る。

 

ただ、一人の軽さを、ぼくの爪先から伸びた糸を引っ張って、同じ高さに持ち続けてくれるような誰かを、そんな都合のいい誰かを、ぼくは探している。そんな人がいたら、ぼくは全力でその人を愛してみせるのに、カードはぼくを制止している。スピリチュアルは信じないのだってば。……。